28年を迎えた阪神大震災

あぁ、あれから28年か…

その時間を考えれば、震災のことを知らない人が増えるのも仕方ありません。ビルが倒壊し風景が一変した街、火災で焼け野原となり焦げた臭いがまだ漂う街、しかし、車で30分も行けば、以前と何も変わらない笑顔いっぱいの人々が行き交う街……

世界で初めてとなる都市直下型地震。行政も避難所の設置、仮設住宅の建設などの経験もあろうはずがなく、何もかもが手探りで混乱のなか、それでも少しずつ人々は落ち着きを取り戻し、復興に向けて動き始めました。

ある昼下がり、阪急・三宮の駅ビルが解体されている光景に出くわしました。神戸に住む人であれば、誰もが通る駅ビル。ふと隣を見ると、高齢の女性が手をあわせ、涙を流されていました。どんな思い出があったのでしょうか。震災で誰かを失ったのでしょうか。涙が流れる目をじっと閉じて、手を合わすその姿に私は息をのみました。10秒…、30秒…、動く様子はなく、私は声もかけられずその場を離れました。

そう、あれから28年…あの女性はもう逝かれたかも知れません。あの女性があの時手をあわせた感情もまた消え去ってしまったでしょう。

震災の教訓とは言いますが、忘れ去っていい感情もあるはずであり、28年という時間は忘れることを許してもらえるだけの長さのような気もします…(Z)