ウクライナとバレエ…

戦火止まぬウクライナから。ウクライナ国立バレエの来日公演が行われています。

ご存知の方も多いと思いますが、現在その芸術監督は日本人の寺田宣弘さんです。幼い頃からキーウにバレエ留学して活躍、今やバレエ団の運営を含めてすべての責任を彼が負っています。

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1991年。当時、新聞記者だった私は京都支局に勤務。京都とキーウは“古都”というつながりで姉妹都市であり、親善訪問団が組織されるとのことで、チェルノブイリ事故後の取材も兼ねて私はキーウを訪れました。寺田さんのご実家は京都でバレエスクールを経営。寺田さんはなんと11歳からキーウへ留学していました。

その際取材したのは、寺田さんのお父様のほう。寺田さんについては「お父さんの影響で小学生から留学だなんて大変だなぁ」程度の認識でした。

しかし、ソ連の崩壊、ロシアのクリミア侵攻、そして今回の戦禍。次から次と襲い掛かる危機に異国で立ち向かい、ついにはバレエ団の監督に就任されるとは…。日本で言えば、歌舞伎や文楽をウクライナ人に任せるようなもの。それほどまでの信頼を得たのは、寺田さんの危機に立ち向かう姿をウクライナの人々が認めた証拠なのだと思います。

“疾風に勁草を知る” 年頭に浮かんだこの言葉。安易な“しんどい”という言葉をしばし禁じたいです…(Z)